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固結を根絶するためのステップ・バイ・ステップ・ガイド

粉体は水分にさらされると水蒸気を吸収し、流動性を失い、製造上の問題を引き起こします。3つの簡単なステップを実践することで、固結を防ぐことができます。

固結は、食品や医薬品の業界ではよく耳にする課題です。流動性のある粉体があるところには、通常、ダマや塊が存在します。

粉体は水分にさらされると水蒸気を吸収します。最初は、水は粉体の粒子の表面に付着していますが、やがて粉体粒子に浸透していきます。粉体の流動性は失われ、問題が発生します。

水分含量では予測ができない

流動性のある粉体は5つの段階を経て固結します。粒子が①湿った状態になり、②粘着し、そして③塊になり、④縮まり、最後に⑤液化に至ります。このプロセスは、粒子の形状やサイズ、加えられる圧力、化学組成など、多くの要因に影響されます。固結を予測し、回避するには、時間、温度、水分活性の3つが重要です。

臨界水分活性

粉体製品は、特定の水分活性(aw)で固結します。そして、臨界水分活性(製品が固結する水分活性値)は製品ごとに異なります。臨界水分活性は高解像度の等温線を用いることで特定することができます。そして、ひとたび臨界水分活性を把握すれば、製品をその値よりも低く保つことによって固結を防ぐことができます。

水分活性の高い原料を加えると、製品の水分活性が変化する可能性があります。同様に、環境湿度や温度が上がると、製品の水分活性が変わることがあります。

固結を防ぐ3つのシンプルなステップ

  1. 水を加えない
    水分を加えると水分活性が上がります。水分は湿度の高い環境から、あるいは水分活性の高い原料から吸収されます。
  2. プロセスごとに2回測定する
    環境湿度が粉体の水分活性より高い場合、粉体が固結します。また、加えられる他の原料の水分活性が粉体の水分活性より高い場合も、粉体は固結します。固結を防ぐために水分活性値を測定しましょう。
  3. 高解像度の等温線を取得する
    高解像度で知られるDDI等温線を用いれば、固結が発生する水分活性をピンポイントで特定することができます。図1は、DDI等温線の実例です。またDVS等温線は、さまざまな条件下で製品が水分を吸収するまでの時間を予測するのに役立ちます。これにより製品開発者は、例えば、室内の湿度が60%という条件下に置かれた粉末が0.45awに達するまでの時間を調べることができます。
図1
図1. DDI等温線は、この値を超えると固結が発生する水分活性値を正確に示す。

粉体の安定性分析を簡略化する

このウェビナーでは、Brady Carter博士が、水分収着等温線と水分活性から得られる情報を用いて、粉体の品質保持期限を伸ばしたり、安定性を管理したりする方法について説明します。

取り上げるテーマは以下の通りです:

  • 粉体の安定性
  • 粉体の流動と固結の科学
  • 固結問題への対処法
  • 水分含量測定が固結の予測に向かない理由
  • 水分活性を利用して粉体の流動性を制御する方法
  • ガラス転移の理解
  • 等温線を用いて臨界水分活性を特定する

「Understanding Powder Stability Through Moisture Sorption Analysis」