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食品製造における歩留まりとロスの測定に関する初心者用手引き

ロスを理解し削減することは、利益を高める有効な手段です。しかし、何から始めればいいのでしょうか。ロスを削減するには、これからご紹介する7つの一般的な方法を検討することをお勧めします。

継続的な改善とリアルタイムのデータは、ロスの削減に貢献するパワーカップルです。自動的に収集され、リアルタイムでアップロードされるデータは、PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを活性化します。問題を浮き彫りにし、分析や診断を可能にし、監視・管理できるライブデータを提供し、成果を裏付けることになるからです。

最新のハイテク機器に膨大な金額を投資すれば、そのようなデータが得られることは誰もが知っています。 しかし、それだけが唯一の方法ではありません。以下は、すでに所有している装置を用いてリアルタイムのデータを自動的に収集し、素晴らしい成果を得ている食品メーカーの例です。

ロス削減の取り組みで直面する共通の課題に彼らがどのように対処したのかを見ていきましょう。

内容量の過剰

もし内容量が不足しているものがあれば、その製品を廃棄するか、または袋詰めをし直す必要に迫られます。そのため、ほとんどの食品製造業者はオーバーパッキングをして失敗する傾向にあります。オーバーパッキングは製品の無料配布に他なりません。リアルタイムの測定データを利用できる製造業者にとっては、ここに容易に解決できる課題があります。例えば、自動袋詰め機と計量器を使っているある顧客は、時間と共に機械に蓄積されていく残滓が内容量不足の引き金になることに気づきました。機械を調整することで一時的に規格内に収まるものの、条件が突然変化し、しばらくの間、5%も過剰に袋詰めしていたことに気づいたのです。

データ収集:計量器をSKALA Controlに接続することにより、計量場所上部に設置したモニターには製品の重量が管理限界と共にリアルタイムで表示され、規格外の測定値が出ればフラグが立ちます。

成果:オーバーパッキングが2%から1%に減少し、月84,000ドルを節約。

加工の過剰/不足

常温保存可能な食品の加工には、多くの場合、焼く、乾燥させる、水を抜く、水を加えるといった水に関わる工程が含まれます。ほぼ全ての製品には最適な水分含量があるため、一貫して、一度で最適な水分含量を実現することができれば、効果的なロスの削減につながります。ある顧客は、最適な水分含量になるまでドライフルーツに水を加え、袋詰めしています。しかし、袋の中で水分が平衡に達するまで2日ほどかかるため、最終的な水分量は13%から18%の範囲で変動します。18%の水分量規格を満たすことができなければ、収益に5%の差が生じます。

データ収集:この顧客は複数の変数を含むデータを必要としています。彼らは初期、中間、最終(加工後2日目)の水分含量を、SKALAに接続した装置を使って自動的に収集しています。また、気温と相対湿度は、水を加えるチャンバー内にSKALAに接続した気温/相対湿度センサーを設置して測定しています。製品の総重量は、加工前と加工後に、SKALAに接続した計量器で測定し、その重量をもとに追加する水分を決定します。

経時的に収集したデータは、各バッチの水分を18%にするために必要な水の追加量を、入荷してくる乾燥済みドライフルーツのロットの水分含量の測定値をもとに算出するアルゴリズムを作成するために使用されます。

成果:月10万ドルを節約。

間違った製造工程

ある焼き菓子のメーカーは、焼き上がりが安定しないために大量の製品を廃棄していました。データを収集したところ、問題はオーブンではなく、オーブンに入れる前の、フィリングを煮詰める加工段階にあると断定しました。フィリングの水分活性のばらつきが、最終製品の不適合を引き起こしていたのです。

データ収集:品質管理担当者は、生産ラインでフィリングの水分活性を測定するために、5分ごとに試料を採取します。測定結果は調理ステーションのモニターに表示され、ラインの責任者に報告されます。ラインの操作担当者は水分活性の変動を確認し、加熱時間を調整し、フィリングの水分活性をコントロールすることができます。

一貫性のない製造工程

一貫性を欠く製造工程は、しばしばロスを生み出します。ある顧客は、オーブン温度がばらついていると、最終製品の水分活性もばらつくことに気づきました。彼らは最終の水分活性をリアルタイムで監視することにより、加工時間を調整し、一貫性を劇的に改善することができました。

データ収集:オーブン温度、およびベルトコンベアの速度で測られる加工時間をリアルタイムで工程管理ダッシュボードに表示。
アクション:ベルト速度を調整して加工時間を変える。

成果:工程のばらつきを50%削減。月5~8万ドルを節約。

機械の故障

押出成形スナックバーを製造しているある顧客は、バーを切り分ける切断機を所有しています。切断機が正常に機能しなくなると、バーのサイズが規格外になり、生産が制御不能になり、ロスが生じます。ライン操作者は、機械の状態を把握して調整を行ったり、修理のためにメンテナンスを呼んだりするために、工程を監視しなければなりません。

データ収集:SKALAに接続した計量器と測径器で正味重量とサイズをリアルタイムで測定。測定データとトレンドは、切断機と共に設置されたダッシュボードと、ライン操作者が見ることのできる2つ目のダッシュボードに表示されます。工程が制御不能になった場合、作業員はラインを停止して切断機を調整したり、直ちにメンテナンスに連絡したりすることができます。

成果:これらのデータ通信チャネルを導入することで、問題を発見するまでの時間を50%短縮。

歩留まりロス

これはあらゆるロスの中で最も基本的なものであり、追跡するのが最も難しいロスの1つです。歩留まりロスの追跡を適切に行うには、生産工程の多くの段階で、生産量とロスを追跡できなければなりません。また、廃棄ではないロス、例えば製品を焼く工程で失われた水分なども考慮する必要があります。常温保存可能製品を製造するメーカーの多くは、焼いたり、乾燥させたり、水を抜いたりすることで水分を取り除いています。彼らは、生産量を予測するために水分活性を利用することができます。自動化されたロスの追跡と生産量予測とを組み合わせることで、製造工程でどれだけのロスが発生したかを見極めることが可能です。

原材料のばらつき

食品原料は年ごとに大きく変化します。産地や生育状況は、大きさ、糖度、水分含量などに影響を及ぼします。原材料の相違を考慮して生産工程を調整することは、あらゆる課題の中で最も手間のかかる作業です。この調整を上手に行うためには、入荷した原料のどの特性が加工に影響するかを理解し、それらを測定しなければなりません。それぞれのロットやバッチに紐づいたリアルタイムのデータがあれば、食品科学の専門知識を活用して、入荷原料の特性に基づく加工調整を勧める予測アルゴリズムを作成することができます。

何から始めるべきか

生産工程の中で、ロスの削減に取り組むことができる箇所は数多くあります。潜在的な投資利益率(ROI)が高い1つのターゲットに絞って取り組みを開始するのが最善の方法です。投資回収期間が過ぎれば、ロスの削減によってもたらされる利益の一部を新たなロス削減プロジェクトの資金に回し、継続的な改善を促進することができるでしょう。

推定をやめ、歩留まりを追跡する新しい方法

この20分間の短いウェビナーでは、Brady Carter博士が、水分吸脱着等温線を用いてバッチごとに歩留まりを計算する新しい方法を紹介します。必要なのは、重量(初期と最終)、水分含量(初期と最終)、水分活性(最終)の3つの測定値のみです。

このウェビナーで学ぶこと:

  • 歩留まりを予測する方法として水分活性が優れている理由
  • 自動データ収集がロスの計算を可能にする方法
  • 大学が運営する試験施設で製造されたポテトフレークのロスを測定した研究結果
  • この方法の課題と限界

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